Amazonで見る創作と研究の対話─大学教育の現場から 武蔵野大学文学部創設60周年記念シンポジウムの記録
文学通信 ・ 2026年4月
文学は創作も研究も区別のない一体のものであるはずです。 専門性の名の下に細分化が進み、それぞれをつなぐ回路が見えなくなった今、創作と研究を、創作と創作を、研究と研究をつなぐ回路を「対話」の形で探ります−− 創設60周年を記念するシンポジウム「創作と研究の対話─大学教育の現場から」(2025年8月1日開催)の記録。 本シンポジウムでは、歌人として著名な穂村弘氏をはじめ、町田康氏、川村裕子氏、大島武宙(寺井龍哉)の学外・学内の第一線で活躍する創作家・研究者を迎え、講演やディスカッションを通して武蔵野大学文学部日本文学文化学科創設以来の伝統である「創作」と「研究」の融合的な教育実践に焦点を当て、文学の未来について考える契機としました。 【武蔵野大学文学部は現在日本文学文化学科という一学科のみの学部ですが、上代から近現代まで各時代の文学、また漢文学や日本語学、書道そして古典芸能など、日本文学文化の全般をカバーする教育と研究を行ってきました。それと同時に、学部開設以来、文芸創作の教育にも注力しており、これまで著名な小説家や詩人歌人評論家が講座を開設して創作の指導を行っています。文学の創作と文学研究双方の専門家が揃い、双方を融合したカリキュラムを構築しているのは、文学部初代主任教授土岐善麿先生の時から続いてきた私たちの貴重な伝統であり、日本の大学の中では珍しい存在です。 昨年は本学創立百周年、今年は文学部創設六十周年にあたります。文学部としての歩みを振り返り、文学部と文学の未来を考えるために、文学の創作と研究を同時に展開することの可能性について、改めて考えたいと思います。 テーマに「創作と研究の対話」と掲げていますが、本来、文学は創作も研究も区別のない一体化したもののはずです。しかし現在では創作と研究が分業化し、互いの距離が遠くなっているようにも見受けられます。研究の分野でも、専門性という名の下に、時代別やジャンル別などと細分化が進み、それぞれをつなぐ回路が見えにくくなっています。文芸の世界でも、多様な媒体、表現形式で新たな作品が日々登場してきており、今日の文芸、文化の全体を見わたすことは、ますます難しくなってきています。そして国語教育の現場でも、「論理国語」「文学国語」「古典探究」といったかたちで内容が細分化され、全体像が見えにくくなってきています。いま、「創作」と「研究」のそれぞれのあり方を問い、その関係を考えることは、研究者、創作者、教育者にのみならず、言葉を扱うすべての人々にとって、意義のある課題ではないでしょうか。 そこでこの度、創作と研究にまたがるキャリアをお持ちの先生方をお迎えし、ご自身の活動やご経験を踏まえた上で、創作と研究を、創作と創作を、研究と研究をつなぐ回路を「対話」の形で探ってみたいと思います。(シンポジウム開催趣意文)】
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